自然エネルギーとしての薪2012年02月17日


 

01

2012年2月、スウェーデンのストックホルム郊外で暮らす姪っ子に第一子が誕生したので、環境立国のスウェーデンの森林利用について見聞がてら訪れてきました。

02

ストックホルムから電車で40分ほど、宅地造成が進んでいる一角に姪っ子夫婦は暮らしています。築2年の家には、当たり前のように薪ストーブがしつらえてあります。

 

03

すぐ隣の古い集落は「薪村」という地名。きっと最近まで一帯は森林が広がり、樵が多く暮らしていたんでしょう。雪の上に兎の足跡があちこちに見られます。

 

05

 

06

 

数日後、姪っ子夫婦は、ブロウから車で3時間弱の森林地帯で、給湯と床暖房を全て薪ボイラーで暮らしている、姪っ子の義理の父親の家に連れて行ってくれました。煙突から煙を出した、可愛らしい家の前に、とても人懐こい猫が出迎えてくれました。

07

 

08

 

一日の暮らしは、朝起きて森を散歩した後は、昼までのんびり過ごし、午後から薪割りをして3時過ぎにボイラーに薪をくべ、夕日をみながら2度目の散歩をする。実にゆったりとした時間が流れています。サラリーマン時代は保険会社で調査員として昼夜問わず忙しい生活だったそうですが、ここでの暮らしは自然と調和していることが実感でき、心豊かに暮らせると、とてもワイルドな顔つきなのですが、とても穏やかな表情で語っているのが印象的でした。

09

 

10

 

森林国で環境立国のスウェーデンでは、森林資源の木質バイオマス利用の意識が高く、また日本のような急峻な地形でないため、大型機械が山の奥まで入れるため、日本と比較にならないほど林業が盛んです。伐採して枝葉を払い、当分に丸太を切るハーベスタや、木材を林道まで運ぶフォワーダという機械も、輸送するトラックも超ビッグサイズ。スケールの違いに唖然とします。また、切りはらわれた枝葉は、砕いて圧縮し、ペレットにして燃料に使う。木質バイオマスを無駄なく有効に使っています。伐採地を見ると、野鳥の止まり木のためか、生態系の連続性を分断しないためなのか、ところどころに木を切らずに残してあります。たぶん自然環境に配慮しているのでしょう。ただ、彼の父親は大型機械で一気に伐採するやり方は、自然環境が急に変ってしまうのと、地面がめちゃくちゃになってしまうので、とても好きになれないと苦々しい顔で、伐採地を案内しながらため息をもらしていました。残念ながら、雪で積もっていたので地面を見ることはできませんでしたが、想像に難くありません。

11

 

日本では、木材価格の低下により間伐などの管理が行き届かず、山村では高齢化による過疎化が問題となっています。また、石油・ガス・電気にエネルギーがシフトしたため、薪の需要は無くなったことにより定期的に伐採されてきた里山の雑木林も放置され、ヤブになって生き物が住めなくなるばかりか、不法投棄の場となっています。最近では、管理放置され太くなったナラ類を好む虫により、ナラ枯れ病が全国に蔓延してきました。

今、日本では自然エネルギーへの関心が高まっています。太陽光や風力、地熱などのエネルギーも良いのですが、それらは一方的に自然の恵みを使っている関係です。しかし、注目度が低い木質バイオマスエネルギーの利用は、使うことにより山の管理が進み、自然環境が良くなり、結果的に国土の保全につながるといった、人と自然との循環する関係性が生まれるばかりでなく、山村の経済の活性化にもつながり、過疎化を喰いとめる期待が持てます。

12

 

森林国の日本。山には管理がままならず放置されている、自然エネルギーの源がたくさんあります。スウェーデンのように、ストーブやボイラーなど、誰もが薪などの木質バイオマスをエネルギー源として、日常的な暮らしで当たり前のように使われる世の中になれば、日本の山の問題解決に大きく前進できるだろうと考えています。

多くの人が、木材を自然エネルギーとして使うことに感心が高まってほしい。

そんなことを強く感じた、今年の冬の旅でした。

13